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16話 暴力と暴露の代償

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2026-01-02 06:00:42

「ちょ、ちょっと……止めてください! 大声を出しますよ!」

 女の子は、腕を掴まれ、必死に抵抗していた。その声は震え、恐怖を滲ませていた。だが、先輩は全く気にすることなく、さらに顔を近づけていた。

「いいじゃん、二人で飲みに行こうぜ。お前が誰にも言わなければ、誰にもバレないだろ? 楽しもうぜ」

 先輩は、周囲を気にしながら、さらに女の子に言い寄った。女の子は、嫌悪感を露わにし、先輩から腕を振りほどこうともがいていた。その表情は、今にも泣き出しそうだった。

「あなたには、彼女さんがいるじゃないですか! わたしに関わらないでください! 迷惑です! ずっと嫌だって言ってるじゃないですか!」

 そう叫んだ女の子の腕を、先輩はさらに強く掴み、彼女を休憩室の奥へと引きずり込もうとした。その光景に、俺の足は止まった。

 ユウヤは、助けを求める女の子の姿を見て、迷うことなく彼女たちに近づいた。そして、女の子の腕を掴んでいた先輩の腕を力強く掴み、詰め寄る。

「なにしてるんっすか? 入ってくる女の子全員に手を付けるつもり? そのわがままな息子……使えなくしてやろうか?」

 ユウヤはそう言うと、先輩の股間に向かって、膝を軽く打ち付けた。その瞬間、ユウヤの膝に、ぐにゅっという嫌な感触が伝わってきた。

「……ってえ!!! な、なにしやがんだよっ!! ユウヤ!!」

「うわぁ、イヤな感触……キモすぎだろ。仕事中に大きくしてんなよ」

 先輩は、激しい痛みに顔を歪ませ、その場にうずくまる。その顔は、怒りと苦痛に満ちていた。一方、新人の女の子は、突然の出来事に驚き、目を丸くして立ち尽くしていた。彼女の表情は、恐怖から一変し、困惑と安堵が入り混じっていた。

 先輩の悲鳴のような声に、騒ぎを聞きつけた従業員や店長が休憩室に集まってきた。先輩は、ユウヤを指差し、怒りに震えながら叫んだ。

「こ、こいつが……いきなり暴力を!!」

 先輩は、胸ぐらを掴み、もう片方の手で自分の股間を必死に抑えている。その目は、涙ぐみながらユウヤを睨みつけていた。

 ユウヤは、そんな先輩の様子を冷静に見つめ、冷たい声で言い放った。

「先輩が嫌がってる女の子を襲ってるのを見かけたんで、止めに入っただけですけど? 何か問題でもありました? 他にも襲われた人も多かったんじゃないですか? っていうか、これ……犯罪ですよね? 放置していた職場の管理者にも問題あるんじゃないんですか?」

 ユウヤの言葉に、集まってきた従業員たちは、ざわめきながらお互いの顔を見合わせた。何人かの女性従業員は、先輩の顔を見て怯えたように身を震わせる。

 ユウヤは、先輩の言葉に耳を貸さず、掴まれた胸ぐらを睨みつけた。ミナを犯した憎悪と、今目の前で同じことを繰り返そうとしている男への怒りが込み上げてくる。その上、みっともなくユウヤに泣きつく姿と、胸ぐらを掴まれている不快感に、イライラと嫌悪感が湧き起こった。

「汚い手で、俺に触んなよ……!」

 ユウヤは、そう吐き捨てると、威圧的な顔で先輩を睨みつけ、容赦なく蹴り飛ばした。先輩は、鈍い音を立てて床に倒れ込み、苦痛に顔を歪ませた。

「ユウヤ!! お前!! お前こそ暴行罪だろ!!」

 先輩は、涙目でユウヤを睨みつけ、怒鳴った。その言葉に、ユウヤは冷たく言い放つ。

「は? 人の彼女を犯しておいて平気な顔をして、また他の女の子を襲ってるやつが文句言うのか?」

 ユウヤの言葉に、その場にいたスタッフたちはざわめいた。何人かの女性従業員は、先輩の顔を見て怯えたように身を震わせる。その中には、過去に同じような被害に遭っていた者もいたのだろう。ユウヤは、そんな彼らの視線を感じながら、店長に目を向けた。

 店長は、事態の深刻さに頭を抱えていた。店の裏とはいえ、暴力は許されることではない。ユウヤは、一か月の反省という名目で出勤停止を言い渡された。だが、先輩には、より重い処分が下された。

「お前は、今日をもって解雇だ。もう二度と、この店に来るな」

 店長は、震える声でそう言い放つと、顔を背けた。先輩は、絶望に打ちひしがれたような表情で立ち尽くしていた。その顔は、怒りや憎悪よりも、ただただ虚しさに満ちていた。

 店長から出勤停止を言い渡されたユウヤは、着替えを済ませると、店の裏口から出た。冷たい夜風が火照った体を冷やしていく。近くの公園に寄る途中、コンビニでジュースを買い、ベンチに腰を下ろした。

 ふと、視線の先に店の裏口から勢いよく飛び出してくる人影が見えた。先輩に襲われていた新人の女の子だ。彼女は周りをキョロキョロと見回し、どちらの道に進むべきか迷っている様子だった。

 ユウヤは声をかけようとしたが、彼女の名前をまだ聞いていないことに気づいた。

「誰か探してるのかー!?」

 大きな声で呼びかけると、女の子はユウヤに気づき、ホッとしたような顔で駆け寄ってきた。ユウヤが抱いていた、もっとお堅いイメージとは違い、彼女はボーイッシュなフード付きのパーカーにジーンズのスカートというラフな格好だった。まとめられていたポニーテールは解かれ、さらさらとした黒いロングヘアが、走るたびに揺れていた。

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